組織人事コンサルタントのブログ

日々の学習や気づきについて発信していきたいと思います。

営業コンサルとしての第1歩:仮説ストーリーを構築する

組織開発事業部のコンサル営業として、一番はじめに学んだ営業方法をお伝えします。

それは対象企業の組織あるいは事業の成長フェーズから、問題や課題を仮説構築することです。

なぜ、この仮説構築が重要かと言うと、あらゆる企業組織はその成長フェーズによって共通した問題・課題を抱えていることが多いからです。

この共通した問題・課題をあらかじめ構築することによって、営業先ではその問題・課題がその企業に当てはまるのかどうかを質問することで、ただ闇雲にいろんな質問をするよりも、圧倒的に早く顕在的な課題を抽出することができます。 

そして、次はその顕在的な問題の原因となっている本質的な問題を質問によって掘り下げ、具体化していくという作業になっていきます。

最後に、企業のなりたい姿、理想を具体的にヒアリングし、解決の方向性を提示していくことになります。


①理想ー②問題(現状)=③課題(ギャップ)←④解決の方向性

 

この②問題をいかに早く抽出できるか、における手段として、企業の成長フェーズから問題・課題を仮説構築することが重要と言えます。

 

ここでは企業の成長フェーズを、成長期成熟期前期成熟期後期と3つに区分できます。以下、簡単に説明します。

 

成長期〜拡大〜(従業員規模50〜100名未満の会社)

成長期の特徴としては事業あるいは組織の拡大を測る時期になっています。
この時期の特徴として、目の前の売上や利益優先するあまり管理体制が脆弱になっている可能性があります。そして経営者あるいは創業時のメンバーがメインに事業を推進しており、経営者とその他社員といった文鎮型の組織構成になっています。その結果、経営者の思いや価値観が統一されないまま、社員規模が急激に拡大していることにより、企業は単なる膨張状態となっており、社内の不満や市場環境の変化によって事業が立ち行かなくなった時に崩壊してしまう可能性があります

この段階で必要なこととして、まず会社の価値観、MVVを明確に定めておくこと。そして、それを社員に浸透させておくための人事制度といった社内ルールが必要です。また、経営者と社員の間をつなぐ中間管理職が必要で、外部から調達するか社内で育成することが大切です。 

この時、中間管理職をプレイングマネージャーと位置付けるものの、 現場における目の前の売上を優先するあまり、部下の管理や育成といった役割を果たさず、社員が成長しないといったケースがあるので管理職としての役割・成果の明確化しておく事が必要です。

 

成熟期前期〜安定〜(従業員規模100〜200名未満)

成熟期前期では、一定の市場拡大あるいは市場シェアを獲得出来ており、市場に対して安定的に価値供給できるように、事業の仕組み化、管理体制の整備を図る時期にあたります。

成長期にきちんとを仕組み化ができていない場合は、経営者と管理職、そして社員の意識や認識にギャップがあるケースがあるので、会社の方向性を明確にし、社員がそれに向かって働きかけられるような仕組みづくりが大切です。MVVやあるべき人物像と一貫性のある人事制度の構築が必要になります。

仕組み化ができている場合は社員力を向上するための仕組みや施策の強化が必要です。施策で言うと、社員の会社に対する満足度向上ための従業員満足度調査を行い現状把握をすること。これは、仕組み化できていないときに各階層ごとの認識のギャップを図るためにも有効な手段となります。

また、各階層の社員がそれぞれの役割を全うできるように 育成体系を構築し、 能力開発の仕組みづくり、また特に新卒社員を採用した場合、定着できるようなキャリアパスやキャリアの想定モデルを策定するなどといったことも必要になってきます。

 

成熟期後期〜変革〜(従業員規模200名〜)

成熟期後期では、事業・組織の仕組み化はできており、会社としては安定状態にあるものの、売上が頭打ちになったり成長率が鈍化しているといった傾向があります。事業や組織の変革が求められている一方で、社内に危機感がなく、“ぬるま湯状態”になっています。このことによって主体性をもった行動や変革心を持たない社員が多く、管理職も役割を果たせていないことが多いです。
これに対応する施策として、戦略的な配置転換や外部からの優秀人材を調達するといった事があげられますが、一番重要になってくるのは、会社としての方向性を明確にし、あるべき人物像や社員へのスタンスを明確化、社員変革を促すことなので、上位概念を固めていくところが大切であり、人事制度の見直しや施策はそれに紐づくものでないといけません。

 

まとめ

以上が、企業フェーズごとの特徴と起こりうる問題になりますが、お客様に伝える際に1つ重要な注意点があります。
それは、企業の成長フェーズをストーリーとしてお話しすることです。そうしなければ、お客様の共感は得られないからです。このストーリー立てのポイントはズバリ、ピンチを強調することです。どんなアニメやドラマでも、主人公のもとに大きな困難や逆境が襲いかかります。これが典型的なパターンであり、共感が誘いやすいのです。なので、これを意識して、お客様の組織・事業に目を向けてください。
この考え方があるだけで、比較的早く対象企業の現状を捉えることができるようになります。
しかし、これは全ての企業に絶対的に共通するものではありません。それぞれの企業には、その企業独特の文化があり、やり方(事業・組織の運営方法)があります。
なので、対象企業HPや業界・事業・職種の徹底研究が欠かせません。企業HPには、社長のメッセージ・企業理念・採用のメッセージ・研修制度、事業の特徴等、あらゆる情報を収集できます。
様々な側面から企業の特徴を調査した上で、企業の成長フェーズを参考にし、問題・課題仮説を構築していただければと思います。