人事コンサルタントの課題解決とは
組織人事のコンサルタントの仕事は、人事制度の構築、研修サービスの提供、人事システムの提供など、企業のビジネス課題をヒト領域で解決するためにある。
お客様と対峙した際、現状のヒトにおける問題をお聞きして、それに対する解決策のみを提示することがあるが、これは間違っている。
コンサルタントはあくまでお客様のビジネス課題を解決しなければならない。
よって、お客様のビジネスの背景、企業理念、会社の沿革、自社の現状とあるべき姿、現在・未来における市場環境や競合他社の動向、などビジネス視点で、どういった組織、仕組み、人材が求められているのか、またどういった事業戦略が求められているのかということを理解することが非常に重要になっている。
それは、なぜかと言うと、そもそも組織・仕組みのあり方は、その組織がどういった方向性に進もうとしているのかという戦略によって変わるからである。
このように企業のあるべき姿と現状を理解することで、「はじめて顧客のことを知った」と言える。
営業先でも、このお客様をとことん知ることが重要で、まずはこのあるべき姿と現状をヒアリングすることでそのギャップを抽出することが必要である。
そして「お客様を知っている」状態から、ヒト領域でどんなことができるのか?と考えていく。
解決策を提示する際に大事なのは、あるべき姿と現状のギャップを網羅的に抽出することである。
この網羅的とは問題課題をMECEで捉えて抽出することに他ならない。
具体的に言えば、人材育成が課題の会社があるとする。これだけきけば、研修サービスの提供となるかもしれないが、本来MECE視点でさらに網羅的に抽出することができる。
人材育成を人の成果創出までのプロセスと置き換え、インプット・スループット・アウトプットとした場合、企業のあるべき人材像が定まっておらず、効果的な育成施策を検討できていない、あるいは検討できているが実施できていないのかもしれない。(企業側)または、研修実施前の社員への動機づけが行われていないため、やらされ感を感じながら研修を受けている可能性もある(社員側)。(インプット)
研修を受けている時に、一方的に受けさせる講義形式となっているため、効果的な学習になっていない(スループット)
研修実施後のアクションプランがなく、やって終わりになっている。あるいはアクションプランはあるが定点観測する仕組みがないため、PDCAを回すことができていない(アウトプット)など、様々な課題を抽出することができる。
その中から、前提条件や優先順位を勘案して、課題に対する打ち手を決定し、実行していく。
まとめると、お客様のあるべき姿と現状を理解し、ビジネス上の課題を網羅的に抽出する、ということがコンサルタントに求められる必須のスキルであり、それら課題をヒト領域で解決するのが人事コンサルタントなのである。